青森銀行



■様式■
この建物は、ルネッサンス風建築様式で左右均等(シンメトリー)に調和よく建てられております。
数多い明治の洋風建造物のなかでも構造的技術的にも優れ、
また、随所に独創的な工夫が加えられている高い水準のものとして
昭和47年、建物と棟札が国の重要文化財に指定されました。

この建物の壁面は「張り瓦」という工法で、下地板の上に24p角、厚さ2pの素焼きの瓦を張り詰め、
その上に漆喰を約4.5p程塗り重ねております。

また、窓は防犯・防火のため土戸(土と漆喰で固めた引戸)でふさぐことができるよう工夫されています。

このように、この建物はルネッサンス風建築の基準を厳格に守りながらも
防火のために日本の土蔵造りの構造をとり入れるなど、
和洋の建築工法を渾然と活かしているところに苦心のあとが偲ばれます。

屋根の先には、バラストレード(手すり壁)がとり付けられ
建物の景観を引き締めておりますが、雪国津軽にはなくてはならない
雪止めの実用を立派に果たしております。

建物の頂上に展望台をかねた装飾塔があり「白亜の殿堂」とも呼ばれる
この明治建造物の景観の重大なポイントになっております。

この建物の一階頭取室、二階小・大会議室の天井壁紙を金唐革紙といいます。
過去には国会議事堂の貴族院書記官室等に使用されていましたが、
今では青森銀行記念館と北海道の日本郵船小樽支店とでしか見られません。
"明治は遠くなりにけり"の感を深くします。
(呉市入船山記念館にある旧司令長官官舎にも残されています)

この建物の規模、木造高さ17.84m、建築面積370.6u、
二階建棧瓦葺で、柱・階段は青森県産の「けやき」
建具も県産の「ひば」(あすなろ)を使用しています。

■青森銀行記念館概略年譜■

明治12年11月
「第五十九国立銀行」が弘前市本町に設立開業

明治30年9月
同行は改組して「株式会社第五十九銀行」と改称

明治35年4月
弘前市親方町19番地に同行本店として新築着工

明治37年11月
落成式挙行 営業開始

昭和18年10月
県内の五行が合併して「株式全社青森銀行」創立
その弘前支店となる

昭和40年3月
弘前支店新築のため建物を90度回転後50m移動(現在地 元長町26番地)

昭和42年5月
名称を「青森銀行記念館」と決定

昭和47年5月
国の重要文化財に指定される

昭和58年7月
調査資料をもとに新築時の姿に復元する修復工事開始

昭和60年9月
同工事完了


引用資料 青森銀行記念館

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