ふたり(2)
『ワンワンキャンキャン』
「離して!」
雨にぬれながら、とぼとぼとピアノ教室へ向かう実加。
「自転車出しておいてくれたんだ」
「うん、時間あったからね」
「ごめんね、これから私が遅れたら先行って」
「行ってきまーす」
「行ってきます」
「いってらっしゃい」
並んで学校へ行く実加と千津子と、材木を積んでいるダンプの運転手。
「早く!遅刻、ゴメン、ちょっと先行ってて」
「どうしたの?」
「うん、忘れ物」
「えっ、お姉ちゃんが?あたしみたい」
「本当だね」
ダンプの荷台の材木が崩れていく。
「ゴメンゴメン真子」
「遅いよ」
「どうしたの?その格好」
「あんた迫力ないわねー、それで討ち入りできるの?」
「ふっ、まっ、しょうがないか。夢見る乙女だもんねー」
傘を差して討ち入りに向かう真子と実加。
「私は助っ人なんだから、しっかりしなくちゃダメだよ」
写真展
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