弟・妹が生まれた後の、兄・姉の危機感


突然弟や妹がこの世に出現し、戸惑った子どもたちはさまざまなパフォーマンスにでることがあります。家族の態度の微妙な変化に動揺するだけの高い感受性を持っていて、自分が家族の中でいつも愛され続けたいと考えている子どもたちは、自分の存在が脅かされたと感じるものです。それまで一身に集めていた家族の愛情を失うかもしれないという心の危機は、さまざまな波紋を引き起こします。

多くは、赤ちゃん返りという方法でその戸惑いをあらわします。おしっこをちゃんと教えられるようになっていたのに、おもらしするようになったり、おまるでウンチができるようになっていたのに、おむつが必要になってしまうことがあります。またおねしょが始まったり、指をしゃぶったり、赤ちゃん言葉に戻ったり、ときにはどもり始める子もいます。弟や妹の出現で忙しくなったお母さんはそのことでイライラするようになり、ちょっとヒステリックに叱りつけたりすることが多くなります。子どもにとっては今の自分より何もできなかった頃に戻れぽ、これまで通りに家族の安定した愛情と注目を取り戻せるのではないか、「夢よ、もう一度」というせつない行動なのですから、その純な心情をくみ取ってやらないことにはいい方向には向かいません。叱られたりすると、ますます困った行動が多くなったりします。ときには一人でそうした寂しさをまぎらわそうとする子もいます。

兄弟が突然出現するということは、子どものそれまでの人生で最大のイべントだったりするのです。それをちゃんとわかってくれる家族のところに生まれてきたいと、神様の前で生まれる前の赤ちゃんたちが集まって、あみだくじでもやっているかもしれないと思うことがあります。
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