彼氏彼女の事情 ACT78
(宮沢)
ずっと胸にしまいこんできたことを
今はなんでも 話してくれます
だから わたしは
はじめて素のままの 有馬総一郎を見てる
わたしは
自分がとても甘い思い違いをしていたと 気付きました
“わかりあって 信じあえたら 心の傷は癒える” なんて
物語世界の話です
どんなに過去を克服し 幸福になっても
痛みは残りつづけるんだ
そして 有馬が体験してきたことは
わたしがまったく経験していないことなので
“理解できない”
有馬は予備校に行き 浅葉と一緒に帰る
(宮沢)「わたし 浅葉に聞きたいの
確かに和解をして 有馬はなんでも話してくれるよ
だからわたしは 有馬のことがわかるんだって思ってたけど 甘かった
わかったのは わたしでは有馬のシビアな現実は 理解できないってことだけ
有馬のこと わかればわかるほど
わたしには理解できない男のひとなんだって はっきりする
それならわたしは どうしたらいいの?」
(浅葉)「で? やってけるか 不安になった?」
(宮沢)「・・・も〜〜 女心がわかってないねっ
理解できないって思ったら 前より好きになっちゃったのっ!
一度 きちんと浅葉から 有馬の話を聞いてみたかったの」
(浅葉)「なんで?」
(宮沢)「誰よりも 有馬を知ってるのは 浅葉だもん
最初に 闇に気付いたのも 一番傍で支えたのも
唯一有馬が頼ったのも 浅葉
だから あなたがなにを見てたのか 知りたかった
ずっと うらやましかったんだもん」
一息してから
(浅葉)「そうだね 今の宮沢になら 話してもいいんだろう
なぜ有馬が 宮沢を好きなのか 考えたことある?
あいつは みかけほど かよわくない
“傷ついた王子様”なんかじゃないよ
有馬は 誰かに自分の苦しみをわかってもらおうなんて思っていない
宮沢が 自分を理解できないことは知ってるし
ちっともかまわないって思ってる
なんとなく分からない?
おれや芝姫のような「同類」に対して
有馬はとても優しいけれど
少し線を引いてつきあってる
宮沢への執着は 正直 ずっと分からなかった
有馬だって 分かってたわけじゃないだろう
振り向いて欲しくて
でも好かれると怯えたり 近付くものを憎んだり
眠ってる心を ぶち壊しまくるわりに 理解をしない宮沢に
なぜ こんなにこだわるんだ?
自分を追いつめるだけなのに
そのうち 駄目になるだろう と思ってた
あとは 宮沢も知ってる通り ドロドロ
でも ふしぎと 宮沢への想いは 変わらなかった
でも今になって 自分が間違ってたこと 分かったよ
ドロドロは 吐き出さなきゃ楽にならないよねぇ
底の底まで堕ちたら あとは浮上するだけ
閉じた心を破壊する者は
再生させることだってできるかもしれないじゃないか
闇なんか理解できない者だから
自分には探し出せない答えをみつけられるかもしれない」