彼氏彼女の事情 ACT76
(有馬)
あれから 数日が経った
一時は もうダメだと思ったりしたけれど
雪野さんが奇跡の一本技をきめ
僕達は 今まで以上に仲よしになりました
僕を支配してきた あの深い闇は 消えることはなく
これからも僕と歩くけど
今はそれが 胸の中で 静かに たゆたっているのが分かる
傷つくことを厭わずに 救ってくれる人がいると知ったから
ふと 水面が 乱れる
消せはしない
生きながら地獄を味わう絶望は
叩かれるたび 頭がへしゃげるような感覚も
脈打つたび どくどくいう痛み
すえた部屋の匂い
ゆっくりと死が近付いてくるあの恐怖
生涯 僕から 消えはしない
校門に 母が待ち構えている
(宮沢)「総一郎くんはどうしたい?
自分の気のすむようにしたらいいよ
私はそれを手伝うつもり」
(有馬)「うん。 決めた 僕は親を捨てるよ」