彼氏彼女の事情 ACT75

病院のベッドの上で話を続ける
(有馬)「これで 全部言った
 生い立ちから なにを考えてきたのかも 全部
 ・・・・・・・・・・・・ がっかりした?
 全然 見せかけと違うんだ
 嘘ばかり吐いててごめん
 怒りたければ怒っていいし
 やっぱりつきあいきれないというなら・・・・・・それでも」
(宮沢)「別れる ってこと?」
(有馬)「うん 今まで傷てけたぶん 本当のこと話して・・・・・・
 結果がだめでも 受け入れなきゃって」
(宮沢)「怒ってないよ だって有馬は 優しい子だもん
 2年前のあの日 私がちゃんと気付けたら
 有馬は 苦しまないですんだのかなぁ」
(有馬)「そんなこと 仕方ないことだよ」
(宮沢)「だって 言わなきゃ分かんないよ そんなの」
有馬を見つめ直して
(宮沢)「ウソつき 有馬 まだ私に言ってないことがある」
有馬はドキリとする
(宮沢)「有馬の話 自分が悪いように言ってる
 “僕が嘘を吐いたから”
 “本当の自分は醜いから”
 “弱いから”
 “汚い自分を知られたくないから”
 
 本当にそうかなあ 本当に汚いのかなあ
 本当は何かを守るために 自分が泥をかぶってたんでしょう?

 有馬の心を歪めていた原因は 本当は2つあったんだ
 そのもうひとつっていうのがね 全ての元凶なんだよ
 “おまえのせいだ”って言えなかったの
 相手は有馬より ずっとコドモだったからね
 だから有馬は つらくって不安なのに 気持ちを吐き出せなくなったの
 それでぐちゃぐちゃになっちゃったの
 その失敗も 「自分のせいだ」って言ってるの
 自分を追い込んだ人を守るために」
(有馬)「・・・・・・もう いいよ・・・ いいよ そんな話は」
(宮沢)「その追い込んだ人ってね 私だよ」

(有馬)
僕は ―――ずっと怖かった
この瞳が 聡明さが どこまでも 見抜いてしまう

(有馬)「違う 僕が勝手にしたことじゃないか 宮沢は 悪くなんかない」
(宮沢)「ううん 有馬を解放できるのは わたし
 誰にもゆずってあげないの それが うれしい」

(有馬)
ひとつだけ 希望があった
暗闇につかまって グチャグチャになってしまっても
僕には壊せないカベも 崩せるんじゃないかって
胸のつまる思いで

(宮沢)「長いあいだ 気付けなくて ごめんね 守ってくれて ありがとう」
有馬を抱きしめ キスをする

(有馬)
ああ。
こんなかわいい人 はじめてみた
そういえば 僕 はじめて女の子に ドキドキした・・・・・・・・・

あつくなって とけてく

(有馬)「好きなんだ 雪野のことが 好きなんだ
 でも ぼくでは 幸せにできないと思って 言えなかっ・・・」
有馬の言葉を塞ぐように キスをする

(有馬)「僕ら 今までみたいに つきあっていける?」」
(宮沢)「ううん これからは 今までより もっと深く つきあえるようになったの」
(有馬)「そうか」

それから数日 有馬の傷もだいぶよくなり 登校し始める
校舎の屋上で 将来の夢について話をしている
(宮沢)「風がつめたくなってきた 教室戻ろ」
(有馬)「珍しいね 真冬でも うす着でガンガンに元気なのに カゼ?」
(宮沢)「んーん ちょっと 体調に気をつけようと思って」
(有馬)「ふうん」
(宮沢)「ねえ 総一くん 私とずっと一緒にいたい?」
(有馬)「うんっ」
(宮沢)「ふーん そのうち いやでも 一緒にいなきゃいけなくなるかもね!」
(有馬)「? ? ?」

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