彼氏彼女の事情 ACT99
とある子の話
ここでは A子 と仮の名前を表示しておきます
(A子)
中学2年生のときのことです
わたしは集団が苦手で ひとりでいるほうが好き
けれど 少しでも集団の輪から外れると攻撃をされる
ついにわたしも標的にされてしまったのか
と 悲しい気持ちになりました
そんなとき
浅葉くんに会いました
浅葉くんは 女子の絶大な人気があったので
わたしへの攻撃は それっきり あっさりと止みました
(浅葉)「よかった あなた ひとりでいたいひとのようだったから
うるさく思われてるんじゃないかと心配だった」
(A子)「・・・・・・わたし浅葉くんのこと誤解してた
軽薄そうなひとだなって苦手に思ってたけど
本当はとてもやさしいんだね
わかっていなくてごめんね」
(A子)
わたし達は友達になりました
野良猫のようにフラリとやってくる
騒がしさをきらい ひとりの時間をすごすわたしのそばで
浅葉くんは 普段とは違う顔を見せた
(浅葉)「父親が転勤することになったんだけど
オレあいつきらいで
高校受かったら こっち残っていいっていうから」
(A子)
浅葉くんがあまり家に帰らず
歳上の彼女や女友達の家を泊まりあるいているという噂は
わたしの耳にさえ入ってきていた
このひとは 家にいたくないひとなんだ
このひとがもてるの わかるわ
浅葉くんは 淋しさゆえに
心から女を必要としてくれる
わたしは浅葉くんに 恋をしませんでした
望めば叶ったかもしれないけれど
だれよりも優しい上等な男
どんな女も 彼と過ごせば倖せになれるでしょう
彼を置きざりにして それではかなしいから―――・・・
彼が永遠の愛情を捧げる相手は
今はどこか違う場所にいるのでしょう
わたし達は北栄高校に入学し
あいかわらず
浅葉くんんは フラリとやってくる
浅葉くんは この高校で有馬くんと出会い
強く惹きつけられていました
有馬くんが女性だったら
彼の運命の相手だったかもしれない
そんな日々も終わるときがきました
(浅葉)「大学決まったんだ おめでとう 学校分かれちゃうのは淋しいけど」
(A子)「浅葉くん キスして欲しいな
これからわたしも ひとを好きになる日がくるだろうけど
最初のあいては 浅葉くんがいいの」
(浅葉)「ホント? 嬉しい」
(A子)
ひとりの時間を ゆっくり過ごした
けれどこのまま生きていかれないことも知っています
わたしは わたしの人生を歩きだしましょう
浅葉くんが 運命の女に出会えますように
学校の屋上にて
(浅葉)「・・・こ 子供ができたから結婚するぅ!?
なにやってんのよ このあばずれ!!」
(宮沢)「ひど――い!! あさぴんにはいろいろ世話かけたから
友達で一番に報告したのに―――」
(浅葉)「でも 総一郎くんそっくりの美少女かぁ・・・
それはそれで 抱っこしてみたいような」
(宮沢)「なんでじゃ まだ性別なんてしらないよ」
(浅葉)「・・・・・・・・・ そっか」
ちょっと考え直して きっぱりと言う
(浅葉)「いや 女の子だよ」
(宮沢)「ふ――ん あさぴんが言うんなら そうかもね」
(浅葉)
ずっと探してた 愛情のすべてを捧げるたったひとり
「うん 女の子だ」