彼氏彼女の事情 ACT100

有馬の家 有馬と宮沢が帰ってくる
玄関にある靴を見て やな予感がする
(父・総司)「お帰り 総一郎」
詠子に対し ちょっと態度悪く
(総一郎)「こんにちは 詠子叔母さま ごぶさたしてま――すっ」
(詠子)「あなた 子供ができたから進学しないで働くんですって?
 父親に似てだらしのないこと
 まぁ 医者にならず この家と関わらない道に進んでくれるのはとてもいいことだけど」
(総一郎)「ええ 僕も これでもう 厭味をいうひとたちとつきあわずに済むと思うと
 性格がよくなるような気がいたします」
そんな様子を見て 「羅刹の家」と喜ぶ宮沢は
(宮沢)「はじめまして――っ ヨメの宮沢雪野です!!
 でもわたしは 医者になりますよ!」
(詠子)「? ? ・・・・・・・・・ だってあなた 子供産むんでしょ?」
(宮沢)「産んでから医者になります」
(詠子)「それなら 医大受けたらよかったじゃない
 その歳で子供なんてつくって そんな甘い考えでなれるはずないでしょ」
(宮沢)「まっすぐ医者になると子供産むタイミングが難しいと思うんですよね〜〜
 子供は産みたいって思っていたし
 医者になる夢も絶対叶えたいから 順番は気にならないです」
(詠子)「・・・・・・ たいした自信ね それじゃ あなたも相当優秀でらっしゃるのね?」
(宮沢)「いいえ わたしは総一郎くんと違って凡才なので
 すごくがんばらなきゃいけないんです」
一呼吸を置いて ゆっくりと
(詠子)「・・・そう」
そんな反応に総司は驚く


詠子が帰ったあとで
(総一郎)「今日はあのひと なんだか大人しかったね
 雪野さんに毒吐くんじゃないかってヒヤヒヤしたけど」
(父・総司)「・・・・・・ もしかしたら 雪野ちゃんのこと気に入ったのかもしれないなぁ
 姉さんも昔は 医者を目指していたし
 今ほど自由に自分の道を決められる時代じゃなかったし
 そこまでの意思をもてる強いひとではなかったから
 どういう状況でも迷いなく “医者になりたい”っていう雪野ちゃんは嫌えないんだろうな
 姉さんはきっと 本当はそんな女の子になりたかったんだ」

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