彼氏彼女の事情 ACT7

(有馬)
宮沢と会ってから もう三ヶ月が過ぎようとしていた
一ヶ月片思いをしていて
二ヶ月目に友達になり
三ヶ月目からつきあった
宮沢と一緒なら 僕は変われるはずだった
でも 結局僕は あまり変わっていない
自分の心は 抑えてしまう
感情より理性が先に立つ
それは人間だから 時には感情的になることもあるけれど―――
最後にはいつも 感情を閉ざした
僕の感情には扉がついていて いつもこれを取り払えない
僕はあせっていた
君だけが変わってしまう気がした
僕はあせっている
いつか 君についていけなくなる気がして

一緒にいたい 一緒にいたい 一緒にいたい 一緒にいたい

(宮沢)「私は思ったの
 ずっと本心をかくして見栄をはってきた中学までの私は ムダだったのかなって
 でも違うかもしれない
 こういう考え方もできるかもしれない
 ずっと努力してたからこそ
 私はありまを支える力を 持ってるかもしれない
 そうすれば 中学までの私は すくわれる
 ずっと一人で立ってるの 疲れるもの
 支える人が欲しいもの」

急速に 記憶は過去へとさかのぼる
まだ 出会うまえの彼と彼女

彼女は見栄のため 人に誇るため 一番をとるために
「完璧」であろうと努力する
彼は出生のため 育ててくれた伯父夫婦のため 彼をさげすんだ親族のために
「完璧」であろうと努力する

高校に入って 二人の世界は大きく変わる―――

(有馬)
ああ どうして僕は
こんなに君が好きなのか わかったよ
君はいつも僕を変える
僕達は支えあえる
僕の心の扉を解くカギを 宮沢はもっているんだ

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