彼氏彼女の事情 ACT14

(真秀)
子供の頃から クラスの中心だった
勉強も運動もよくできた
自信があった
たいていのことは自分の思いどおりになるとおもってた

高校で会った宮沢雪野は
私のはるか上を軽々越えて
あっという間に クラスの女子の中心になった

今日もまた 雪野とつばさの格闘はつづく
(りか)「・・・続くねぇ 二人のストリート・ファイト」
(椿)「うむ つばさの攻撃も 日に日に高度なものになっていくね
 しかし 確実にそれをかわす宮沢さんも 秘めた実力を感じさせる・・・
 おーい 二人とも ノドかわいたよ 学食にジュース のみにいこー
 宮沢さんも 一緒 いこっ」
(雪野)「へ? 私?」
(椿)「うんっ 一緒いこ」
(つばさ)「ちょっとッ なにさそってんのよ
 あんたたち 私がなんでそいつとたたかってんのか 忘れてんじゃないでしょ――ねっ」
(亜弥)「・・・・・・・・・・ ストリート・ファイトでしょ?」
(りか)「どっちが上か 決めるんだよね」
(椿)「ちがうの?」
学食でジュースを飲みながら・・・
(りか)「宮沢さんて もっととっつきにくい人かと思ってた
 でも 話してみたら 全然平気で安心しちゃった」
(雪野)「ははは――― これが地なんだよ あれはねぇ つくってたの」
(椿)「はっ つくっていたのか!」
(雪野)「そう 自分をよくみせたいっていうか 他人によく見られたいっていうか・・・
 私 人にほめられると ゾクゾクって・・・・・ 快感がはしる人なのよね
 だから 思いっきり 自分をつくっていただけなのよ
 でも 他人の目を気にする生きかたなんて くだらないよね
 現実には 友だちなんて 一人もいなかった
 ありまと会って そういうことに気がついて
 だから そういうのはやめようって思ったんだよ」
(亜弥)「友だちいないって・・・
 最近なんか宮沢さん 一人でいるなって思ってたんだけど もしかして・・・・・」
(雪野)「うん いろいろとね」
(りか)「なんか・・・・・ 大変なんだね」
(雪野)「仕方ないわよ 自業自得だもん 責任くらいは とらないとね」
(椿)「だ―――っ 私はそーゆーの好かん!!! シカトとか ムシとかっ
 ―――わかりました
 今からアンタは「ゆきのん」 今から友達 うちらのグループ オッケイ? ゆきのん?」
(雪野)「ありがとう ・・・でも あの・・・・・」
(つばさ)「勝手にしなさいよ 私は一人で たたかうからさ」
(椿)「てことで やつは個人行動ねー」

椿 りか 亜弥 と一緒にいる雪野 それを見た真秀とクラスメート
  「宮沢さんて D組の子たちと 仲よかったの?」
  「あれ 佐倉 椿でしょ
   校舎ちがうから なじみうすいけど あっちじゃけっこう 人気あるんだよ 女子に」
  「やっぱり・・・ なんか 目立つよね 宮沢さんて」
(真秀)「あれがあいつの手だっていってるでしょ!? まだ わかんないの!? 」

(真秀)
いつも いつも 宮沢だけがいい思いをする
どうしてよ
あんな 嘘吐き女が

(亜弥)「・・・でも 引っ掛かるなァ」
(椿)「何が 沢田」
(亜弥)「手を打つスキも与えないくらい 組織的に無視されてるんでしょ
 それってどこかに 主謀者がいるんだよ
 うまくクラスを誘導できる 頭のいいやつがさ」
(雪野)「―――主謀者」

クラスに戻った雪野
(真秀)「―――なに?
 クラスで相手にされなくなったら 今度は別のクラスの子にとりいるの?
 相変わらず上手いよね ひとをだますなんて わけないんでしょ
 今度は どんな手を使ったのか 教えて欲しいわ」

(雪野)
主謀者
こいつが主謀者!
ここで負けたら なにも解決できない

(雪野)「―――別に とくになにもしてないよ」
(真秀)「へ――え 珍しい もうネコかぶらないの
 もったいないじゃない あんなに人だますの 上手かったのに
 いい思いしてたんでしょ
 バレたからって 気にすることないよ つづければいいのに」
(雪野)「――― あなたが私のこと嫌うの わかるわ
 たしかに私は そういうズルをしていた 弁解の余地もない
 そう言われても 仕方ないと思うわ
 ―――でも なら どうしてあなたは
 他の子を味方につけて 自分が優位にたとうとするの?
 私も汚いけど あなたも汚いじゃない
 気にいらないなら 直接そう言えばいいのよ
 一対一じゃ 自分の意見も言えないの?
 たしかに私が悪かったけど こんなことされて がまんしてるほど お人好しじゃないわ
 自分を棚に上げて 非難しないでよ
 自信満々なんでしょ クラス味方につけて 勝ったつもりなんでしょ
 よかったわね 嬉しい?」
思いっきり 雪野のほほを叩く 真秀
(雪野)「はじめっから そうすればよかったのよ」

(真秀)
勉強も 走ることも かなわなかった
  『真秀ォ さいきんすっかり地味じゃん らしくなァーい
   やっぱ真秀は 派手にやってくんなきゃあ』
ちがう
もうダメなのよ
どうやっても かなわないのよ
このどうしようもない
敗北感

下駄箱で 通り過ぎる真秀に・・・
(つばさ)「宮沢を いじめていいのは 私だけなんだよ
 ヨコからでてくんじゃねぇよ
 これじゃ エンリョしちゃって 思いっきりできねえだろっ」

(真秀)
誰にもわかるものか
誰もなにも わかりもしないくせに

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