彼氏彼女の事情 ACT15

雪野のクラスの女子
  「あ――あ 最近つまんないの
   高校でまで 無視やるなんて 思わなかったよ」
  「たしかに ・・・」
  「昨日みたいな 宮沢さんと 真秀の言い合い みちゃうとねー」
  「なんかもう こういうゴタゴタにまきこまれるの イヤだなって思うよ」
  「結局 真秀が宮沢さんを 気に入らないだけでしょ」
  「ねぇ なんかおかしくない? 昨日の二人の言い合い
   たしかに宮沢さんは ネコかぶって 私達をだましてたんだけどさ
   私には 真秀が言うような・・・
   男にこびるために 上品ぶるような そういう人には思えなくて」
  「え―― だって 態度 変わったじゃーん 有馬くん 浅葉くんと知り合ってから」
  「たしかにね」
  「でも よく考えて 真秀は 宮沢さんは 
   『いい男をつかまえたから ボロがでるようになった』 と言ったね
   だけど私は思うんだ
   あの頭のキレる人が ほんとに そんな甘いミスをするんだろうか・・・」
  「・・・そう言われると・・・・・ そういえばそうかも」
  「宮沢さんて 頭がいいだけあって ネコのかぶりかたも 徹底してたもんね」
  「その人が 男のことぐらいで ボロをだすっていうのは――」
  「たしかにちょっと 不自然かも」
  「そういえば 昨日の言い合いのときも ネコかぶってたこと 自分で認めてなかった?」
  「・・・あれ もしかして 宮沢さんて 自分から地をだしてた?」
  「じゃ 『こびてる』っていうのはなに?」
  「真秀 どうして そんなウソつくの?」
  「こうも考えられる 真秀は宮沢さんをつぶしたかった
   彼女を陥れ クラスからしめだすなら 方法はひとつしかない
   クラスの女子は 有馬君と浅葉君と 仲のいい宮沢さんを ねたむ気持ちがある
   そこを利用すれば・・・」

クラスの女子が 真秀の前に集まり・・・
  「真秀 あんたがなぜ そこまでして 宮沢さんをつぶしたいのか知らないけど
   私達をだましたのは 許せない もう信用できないわ
   これ以上 くだらなくなりたくないから あんたのこと 無視したりはしない
   でももう 誰もあなたの言うことは 聞かないから
   そんなにやりたければ 自分一人でやって
   それが私達の意見よ」

(真秀)
誰も うまくいくなんて 思ってない
はじめから こうなることはわかってたわ

ちやほやされて 自分がひとより優れていると うぬぼれられたときもあった
でもそれは 狭い世界での思い上がりにすぎず
世の中には 私よりはるかに優れた人間など いくらでもいるんだということを
宮沢に会って はじめて知った
自分がいままでいた位置に 自分より優れた者に立たれるほどみじめなことはないわ

見たくもなかった
でも 私の心は いつも宮沢でしめられていたし 知らず 目で追いかけてしまう
宮沢への執着
まるで 烈しい 恋のようだ
だから 「それ」に気付いたのは 私だけだと思う

あれは 演技だ

このくやしさが誰にわかる?
あんな女が 私からなにもかも奪う
そのうえ恋を手に入れて いまさら正直になろうなんて 許さない
つぶしてやる あんたも
つぶれていく私のように
―――でも それも もう終わり
こんなバカげた意地も もう終わりにしなきゃ・・・・・

(雪野)
その日から事態は好転する
どういういきさつか クラスの女子から謝罪され
私は無事 クラス復帰を果たした
なにより はじめて友達と呼べる人たちができた

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