彼氏彼女の事情 ACT48

(一馬)
僕は芝姫一馬 この春 高校二年になった
芝姫つばさ 同い歳
去年 親の再婚できょうだいになった僕の姉

僕は幼い頃から 早く大人になって
自分が家計を支えなければとずっと思ってたけど
そんな心配もなくなった
毎日は もったいないくらい 平和

僕のささやかな日常
安全を保証された暮らし
うまくいってる家族 平和な学校生活 バンド活動
けど なんでかな ときどき すごく変な気分になるときがある
誰にも言ったことないけど
みんなと笑ってるときに 授業中に 通学の電車に揺られてるときに
急に周りの音が聞こえなくなって ひゅうって心が どこか
遠くへ
我にかえると すごく時間が経った感じなんだけど
ほんの数秒のことらしい
そういうとき 友達の輪の中でひとり 迷子になったような気分になるんだ
お前の居場所はここじゃないよと
魂の深いところからの声がする
ヤなかんじ よく分からない・・・

有馬くんはつばさの同級生で
はじめて会ったときから 不思議に心魅かれてる
有馬くんもそう思ってくれてるみたい
有馬くんになら 僕が秘密にしている あの不思議な気分について話してみたい
わかってくれる気がするんだ 有馬くんなら 僕の気持ち
他人の”オーラ”が見える人がいるとかって話あるじゃない
僕は 人から出る波動が音楽になって 聞こえることが時々ある

そして 有馬くんのは 特別 美しいんだ
繊細で 深く 艶っぽい
ぼくに才能があればな
曲にするんだけど

とりまく世界が大きく動き出す前の 平凡で平和な日々
やがて知る
何のためにこの意識と肉体を与えられたのか
雷鳴とともに
深い痛みと歓喜とともに

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