彼氏彼女の事情 ACT49

(一馬)
つばさと きょうだいになってから一年足らずだけど
生まれたときから一緒だったように うまが合う
友達みたいな 姉弟みたいな 兄妹みたいな 居心地のよさ
つばさはちっちゃくて びっくりするくらいきれいでかわいくて
僕に優しい
こんな娘ときょうだいになれるなんて幸せだ
メロメロってかんじ
つばさは 僕なんかのどこが良いんだろう
そういうのはさすがに照れくさくて聞けない

ふたりでいると 忘れてしまうけど
つばさはとんでもなく人見知りで 僕以外の人とは ほとんどまともに話さない

ばくは たぶん すごい寂しがりだけど つばさはそれ以上だ
自分だけを選んで 一番に愛してくれる人を求めてる
こんなとき 自分の中に 少し 迷う気持ちがあるのが分かる
つばさほどには ぼくは真っ直ぐ つばさを想えないかもしれないんだ

何かがぼくを呼んでいる
雑踏の中 歩道のしま模様の上 高架線の下 あふれるネオンの下 夕陽がさす帰宅の電車の中
歌ってるとき
夢の中でも 胸の奥がざわざわするんだ
何かが変わろうとする予兆がずっとしていて
ぼくを落ちつかなくさせる

だから言えない
ずっと つばさのそばにいるよって

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