彼氏彼女の事情 ACT53

(一馬)
ぼくは大人になった
はじめて女の人に 魂を奪われた

やっぱり 好きになっちゃったんだ
つばさがキレイに見えるもん
考えてみれば当然かも
ぼく きっと つばさ以外の女の子を大事になるなんてない
ずっと ”きょうだい”でうまくいってたのに
どうしよう ”女の人”にしか見えないよ

きっと心って液体だな
あふれてるもん
愛してる が。

”きょうだい”でいるのは 本当に幸福だったけど
仕方ない あきらめるしかない
あふれてくる

つばさがどう思うのか

このごろ 視界の色まで違う
前は 淡い水色と白 キラキラする虹色だったけど
今は 赤と黒
ぼく 異常なんじゃないのかな
他の人には まだふつうに見えるかな

怖いくらい 気持ちが
自分の気持ちに 自分自身で溺れてしまいそうで
なぜ こんなに 有馬くんに魅かれるのか 今は分かる
ぼくの中にも 「狂気」があるからだ

(一馬)「ただいま」
(母・裕美)「あら 一馬」 
(つばさ)「途中から一緒だったの」
(一馬)「疲れたから フロ使ってもう寝るね」
(つばさ)「一馬ちゃん 大丈夫? 元気ない 帰るときもずっと黙ってたし 何か・・・」

一馬に触れようとして 感づくつばさ
(一馬)
―――しまった

(一馬)「・・・・・・疲れてるだけだから もう寝るよ」
(つばさ)「一馬ちゃん ライブもうないんだよね
 明日からまた ずっと一緒にいられるんだよね」
(一馬)「―――たぶん・・・
 ああ でも 分からないな なんかまた色々忙しそうで・・・・・・
 ヒマにはならないかもしれない」

寝ている一馬の部屋に来て
(つばさ)「一馬ちゃん 入ってもい?」
(一馬)「だめ」
(つばさ)「私・・・なにかしたかな したなら言って あやまるから」
(一馬)「別に・・・ つばさのこと怒ってるんじゃないよ」
(つばさ)「嘘 じゃあ なんで目をそらすの?」

(一馬)
・・・・・・・・・・・・なんなんだよ ぼくは
優しくしたり つきはなしたり
つばさは混乱してる
違う 本当は やさしくしたい
寂しくて不安なつばさの心を くるんであげたい
だけどあんまり 愛おしくて
彼女が ぼくを愛してくれるので

(つばさ)「一馬ちゃん」
一馬に抱き寄る

(一馬)
気が狂う

つばさを突き払い 逃げ去り 家を出る
(つばさ)「一馬ちゃん」

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