彼氏彼女の事情 ACT56
『陰陽』のCDは記録的な勢いでヒットし続けた
街の大型ビジョンに『陰陽』が映る
「『陰陽』 ついに顔出したか―っ」
「『陰陽』ってこんな顔だったんだ」
「一馬 かわいーっ」
「一馬 男っぽくなった?」
「顔出ししないで欲しかった気もするけど ライブ映像みたいもんなー」
雑踏の中で倒れ 病室へ担ぎ込まれる
眠っていたつばさ
(一馬)「・・・・・・ つばさ やせた」
(つばさ)「一馬ちゃん 一馬ちゃん 一馬ちゃん 一馬ちゃん
どうしていなくなっちゃったの あたしずっとさびしかった
あ・・・あたしのこと きらいになったの
どんなふうでも直すから 一馬ちゃんがいないのは いやだよう!!
「音楽」が一番なら それでもいい
あたしを置いていかないで」
(一馬)「ごめん ごめん つばさ・・・
つばさがそんなに苦しむなんて思わなかったんだ
置いていったわけじゃない 嫌いになんかなってないよ
今も これからも つばさが一番好きだ
きみを愛してるんだ」
(つばさ)「・・・・・・・・・ ――――― ・・・・・・・・・」
(一馬)「ね だから 家を出たんだ」
(つばさ)「・・・い いってくれればいいのに
なら わたし 一馬ちゃんとつき合うもん
そしたら ずっとそばにいられるでしょ」
(一馬)「言うと思った じゃ キスしようか」
顔を引き寄せる
(つばさ)「や・・・」
逃げたつばさの頭をなでる
(一馬)「つばさにとって ぼくは 「男」じゃないから
こんなに心を許してくれるんだって知ってる
だから どうしても 好きと言えなかったんだ
ごめんね 好きになっちゃって
「理想のきょうだい」を見つけたのに 「恋愛」なんかしたくないのにね
でも ぼくは 後悔はしていない
中途半端な想いじゃなかった
ぼくの中にある つばさへの想いは
少しの曇りもない きれいなものだったから
ぼくも ぼくのつくる歌も 君のもの
つばさ 何年先でもいい どれだけでも待つから
ぼくを 好きになってくれないか
それほど ぼくを大事だと思うなら」
夜が明け 目を覚ます
(つばさ)
一馬ちゃん ちょっとの間に 「男のひと」になってた
「男のひと」も 「恋愛」も
『こわい』
いつか わたしから 去ってしまう
でも 元気にならなくちゃ
一馬ちゃんが悲しむから
一馬ちゃんが わたしを一番大事だといったのは 本当だから