彼氏彼女の事情 ACT63

校舎の屋上で 有馬と浅葉
(浅葉)「それで お前は
 宮沢に本心を言わないまま続けていって すくわれるの?
 幸せだと思えるの?」

授業をサボり フツーのカップルでいたひととき
(有馬)
本当に ここで時間を止められるなら
卒業して まったく違う目的に向かって
接点を無くしていく僕らの

宮沢 君と一緒に変わっていけると思ったけど
―――でも 駄目だったよ
はじめはあんなに近いふたりだったのに
約束した ”本当の自分”になると
でも 君のように うまくはいかないんだと

気が付いた

けど 悔やんではいない
どうであれ これが本当の自分 本当の声 本当の野心だったから
漠然とした不安を抱えていた「いい子」のときよりも
「もうひとりの自分」に怯えつづけたあの頃よりも
受け入れてしまった今は 安定してる
―――あの頃はなかった
生きているという実感が ちゃんとあるんだ

ただ 君の選んだ道と あまりに違うだけ
宮沢と両親には 絶対に知られたくない というだけだ

これでいい
彼女には ―――言えない から
でも傍にいたい
だから どこまでも 隠し抜く
心が遠く離れていっても
最高の恋人の顔で 君の隣りにい続けてみせる

PREV.TOPNEXT