彼氏彼女の事情 ACT64

(有馬)
たった独り どこまでも
この階段を登りつづける

日々は夢のように過ぎる
僕は 本当の意味では 幸せになれそうもないけど
それでも 君と会えて幸せだった

彼女が大好きだったし 彼女も僕を好きでいてくれたんだから
彼女が笑うと嬉しかった
自分が必要とされている 存在を祝福されているって思えるから

もうひとりの自分に あんなに怯えたのも
もしかしたら ”本当”の僕は
その憎悪は 彼女さえ傷つけずにはおかないだろうって
―――――本能的に知ってたからかもしれない

それならば 独りで この道を行く

君と会えて 色々なことがあったけど
もう本当に ―――――これでいいんだ

でも みんなとの楽しいひとときを過ごしているうちに 思い直し・・・
そうだ 僕には 進むべき道があるんだ
過去なんか 関係ない

突如 有馬の目の前に 産みの母が現れる
足の下で 何かがピシリとひび割れた

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