彼氏彼女の事情 ACT65

(有馬)
あの時 ふしぎそうに”母親”を見る みんなの目がつらかった
なんとなく予想してた通りの 軽薄で身勝手そうな母親
何の愛情も湧かない
やっぱり僕は 「まともな」家の子とは違うんだって実感しただけで

こんな親に産み捨てられ 残された僕が
さんざん一族に苦しめられて
親の罪の分まで努力して 優等生になった

でも 今度はそのおかげで
宮沢とのつきあいが どんどん嘘になってく
親の罪が どんどん僕を歪ませてく
やり切れない

産みの母から 過去の出来事を聞く
さっきの話は いろいろな謎を解いた
もっと過去を知りたい
”父”と”母”がどんな人間か どうして僕が産まれたのか どうして捨てられたのか
今の僕の目ではっきりさせれば
案外あっさり納得して 僕を縛りつけてきたあの憎悪からも 解放されるのかもしれない
憎悪の火種は 過去の中にあるんだから

そうすれば あの階段を行くこともなく
宮沢とも 本当につき合える

でも

これからも会って欲しいと懇願され 「うん」と答えてしまう

僕はいつも人をあざむいてる
あの女も
人を操るのが上手いのだとしたら?
何しろ 産みの母親だから

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