彼氏彼女の事情 ACT67

(有馬)
それから 数日間のことは あまり覚えてない

(有馬の母)「総一郎 もう起きる時間よ――」
(有馬の父)「昨夜も浅葉くんとこ 泊まったんじゃないの」
(有馬の母)「帰ってますよ 玄関に靴がありましたもの」
(有馬の父)「よく分かるね」
(有馬の母)「だてに10なん年 子育てしてません!」

総一郎を起こしに行く そして総一郎が幼かったころを思い出す
(有馬の母)
いつもおなじ なのは それが表向きの顔だから

―――あれは 総一郎がうちに来て どのくらいのことだったのかしら
総一郎は まともに育てられたことのない子供だったけれど
もともとの気質は上等で 引き取られてすぐ うちに馴染んだ
私達の生活に合わせるのは得意だったけれど
無条件に甘やかされると当惑した

こんな可愛い子が なぜ今まで愛されなかったのか 分かりません
あの子は今も ”自分のケーキ”に戸惑いながら 手を伸ばしている
けど 思い出してしまわなければいいけれど・・・・・・

総一郎が置き忘れていたハンカチを洗おうとする
・・・くせのある香水の香り・・・
少し前に同じものを嗅いだような・・・
産みの親のことを思い出し 驚愕する

(総一郎)
また今日も いい人ぶって笑うのか

報いだ
人の足下みて 操ろうとするから
操られる
バカな復讐心で 人の上に立とうとするから
目立ってあの女につかまるんだ

いずれ両親も嘘に気付くだろう
自分のことはまだしも また両親は僕のことで 苦労をするのか
言われなくていいこと 遭わなくていい目 僕のせいで
僕はまるで 「厄災」のようだ

突然 ひとつの答えが点灯した
僕は 自分を ”わざわい”だと 思っている
「いい子」になりたかったのも 親戚を見返したかった 怒り
いつも自分に自信が持てない
その理由

あ・・・・・・
厭だ
これ以上は
「考えたくない」
気持ち悪い 気持ちが悪い――――――

(宮沢)
・・・・・・ やっぱり
あれは ウソの総一郎さんだ
誰も気付かないのかな
まるで 突然 私だけが はっきり目が見えるようになったみたいに

あなたは誰なの?
私はいったい 誰とつきあっていたの

違う もうひとり 本物の総一郎さんを見てる人がいる

(浅葉)「ここなら誰も来ないよ 何 話って」
(宮沢)「総一郎さんが嘘をついてるように見える
 ねぇ 私は ずっと嘘をつかれてた?」
(浅葉)「そんなこと なんでおれに聞くの?
 直接 総一郎くんに聞けばいいじゃないか つき合ってるんだろ?
 直接聞けないってことは もう 分かってんじゃん
 そうだよ」

(宮沢)
私は風に舞う一枚の葉っぱ
あなたを探しに行きましょう

もう一度 出会うために

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