彼氏彼女の事情 ACT83
怜司に脅され 銃を向けられ でも冷静に納得し
バイクに乗って 有馬と怜司は街の中に消える
別れ際の宮沢に 怜司は何か一言話す
警察に追われた証拠隠滅に バイクを海に落とす
その場所で 息子に語り始める
(父親・怜司)「・・・オレさ おまえの『父親』だっていう自覚ねえんだ
悪いけど 興味ない
だいたいオレ おまえみたいなクラいガキ 好きじゃねえし
ただひとつだけ・・・
『親』として おまえにしてやれることがあるって気付いてさ
だから迷惑かも知れないが しばらくオレにつきあえよ
それが済んだら 二度とおまえの前に現れねえから」
有馬の家
(父・総司)「そう 怜司がそんなことを・・・ 知らせてくれてありがとう」
(宮沢)「けど・・・ 怜司さんは みかけほど無茶なひとには見えませんでした
わたしには気をつかってくれたみたいだし ・・・・・・」
(父・総司)「怜司の本心は 誰にも分からない
捕まえようとすると逃げてしまう 野性の生き物のような男なんだ
だから 『母親』のように 総一郎を束縛したり 追いつめたりすることはない
そういう意味では心配してない
ただ・・・ 怜司を知ったら 総一郎は苦しむんじゃないかって・・・・・・ 思うんだよ」
(父・総司)
ひとつ わからないことがある
別人のように変化していた あのピアノ
おまえ なに考えてる?
怜司が宿泊しているホテルで インタビューが行われている
心境の変化かと問われ
(父親・怜司)「それは未だ わたしの中で整理のついていない問題なので・・・
うまく言葉にはできません けれど言葉より 思考が先に 音が変わってしまう・・・
音楽家とはそういうものではないでしょうか
答えが出るのは きっともっとずっと先のことでしょう」
インタビューが終わり 有馬に水割りを作らせながら
(父親・怜司)「おまえって真面目だな 無理矢理オレにラチってこられて 世話までやくんだから」
(有馬)「・・・おまえらのせいだろ・・・ 親の行いが悪いから苦労したんだよ!!
厄介だっ とは思ってるよ
何考えてるか知らないけど 僕にかまってるほどヒマでもなさそうだし
あんたといると ふだん見れない世界みられるから
ちょっと面白いって思ったの」
有馬の作った水割りはまずかったので バーに移動する
(有馬)「あんた僕をどうしたいの」
(父親・怜司)「悪いようにはしないさ
どのみち もう日本に来るつもりない おまえに会うのもこれが最後だ 心配いらない」
(有馬)
言い訳にして 自分の心を認めてしまう
僕 こいつが好きだ
今日 ほんとはたのしかった
子供扱いされたから
たぶん銃口を向けられたときから
魅かれていたいたんだ
はじめて アタマも経験も体力も
すべてが “上位のオス”に会ったから
なぜ それが
僕を捨てた父親なのだろう
次々とお酒を味見させられ 酔いつぶれていた有馬
ピアノの音が聞こえ 目を覚ます
父親にリクエストを出すと 文句を言いながらも 怜司はそれに答える
このひとの本心が何であっても
ピアノだけは真実だ
ナイフのように鋭利で艶めいていて
けれど どこかひとの魂を
純化させるような
たとえ このひとの本心が悪意であっても
今だけ
僕はこのひとといよう
このひとは 僕の心を揺らすのだから