彼氏彼女の事情 ACT89
「悪かったねぇ 僕は君とは違うからさ」
(総司)
結局・・・ 怜司を守りたかったはずのわたしが 絶望につき落とした
目を見開き 暗雲が垂れこめるような表情になり
病院のその場から走って去る
夜になって 怜司のいる部屋を訪ねる
(総司)「怜司 お願いだ 開けてくれ 謝るから
何度でも謝るから 開けてくれ 怜司・・・・・・!」
(父・総司)「それからは すべてが狂っていくいっぽう
怜司は あっという間に悪い仲間とつき合うようになり
ろくに家には戻らなくなった
だから それからの怜司のことは
―――わたしにもよく分からない・・・
どうして 不幸が繰り返すのを止められなかったんだろう
わたしひとりで済むなら あんなことたいした苦しみじゃなかった・・・
どんなことだって ―――耐えられたんだよ
怜司の人生を狂わせた この苦しみに較べれば・・・」
総司・怜司とその父・玲一郎との話 さらにその祖父との話と
有馬家の歴史をさかのぼっていく
(怜司)
兄さん あんたは分かってない
オレはべつに 兄さんの言葉に傷ついたわけじゃない
オレの存在は あんたを苦しめることしかしないって知っただけだ
オレが現れたことで 兄さんは
言われなくていいことを言われ
しなくていい思いをし
手にしていた穏やかな日常を捨てざるを得ない
人生を狂わせてるのは オレのほう
兄さん あんたは 自分を犠牲にしても
オレを幸せにしようとするだろうけど
オレはあんたに
そうさせてる自分が憎いんだ
母親を見殺しにして生きたのに
生きたことで総司の人生を殺してる
悲しい。 オレは悲しい。 悲しい 悲しい 悲しい・・・・・・・・・・・・
・・・はじめて総司に会ったとき
優しそうで なんにも汚れていなくって
この人が自分の兄なんだって知って 嬉しかった
悪い仲間に加わるものの 誰にもおくさない
そんな怜司の態度 見た目 家の事情に 涼子が目を付ける
(涼子)「・・・ そう言われると 欲しくなるんだよね」