第三節 行深般若波羅蜜多時

「深般若波羅蜜多を行ずる時」である。般若とはさとりを得る真実の智慧、さとりの智慧のことである。

波羅蜜多には六種類あり、<1>布施(ほどこす) <2>持戒(戒めをもつ) <3>忍辱(たえる) <4>精進(はげむ) <5>禅定(やすらぐ) <6>智慧(よく生きる)、とある。智慧は、前五つの波羅蜜多を実践する際に正しく方向づけ、根拠づけるものなのである。だから波羅蜜多においては、智慧を最重要にし、波羅蜜多といえば智慧をさすのである。

般若も智慧、波羅蜜多も智慧のことである。2つを合わせると意味は、完全な智慧、最高の智慧の完成となる。さらに「深」を合わすと、奥深い最高の智慧の完成となる。

ここまでの経の解釈は、「観音さまが奥深い最高の智慧、すなわち事実を事実たらしめる理由を会得する修行をしている時」となる。

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