第十―節 是故空中 無色 無受想行識 無限耳鼻舌身意 無色声香味触法 無眼界 乃至 無意識界

「こういったわけで、空の中には色も、受想行識も、眼耳鼻舌身意も、色声香味触法も無いのである」

色・受想行識は空だと説明してきた。そうしたら、色・受想行識を取り込んでいる具体的なものまで説いてきた。

鎌田茂雄氏の『般若心経講話』によると、眼耳鼻舌身意を「六根」といい、色声香味触法を「六境」という。意は事物を思量すること、色は形・カラー、声は音・言葉、法は事物、存在しているもののことである。六根と六境を足して「十二入」または「十二処」という。さらに六根が六境を受けて起きる視覚の眼識・聴覚の耳識・嗅覚の鼻識・味覚の舌識・触覚の身識・思量や心のはたらきの意識を「六識」といい、六根六境に六識を加えて「十八界」という。

ていねいに書きつづれば、眼界・耳界・鼻界・舌界・身界・意界・色界・声界・香界・味界・触界・法界・眼識界・耳識界・耳識界・舌識界・身識界・意識界となる。これらのすべてに、あるものであってないものだという空を説き、経にはこれを省略して「無眼界 及至 無意識界」と表現した。

いろや形を見る、音や声を聞く、香りを嗅ぐ、舌で味わう、身体に触る、意識でさまざまなことを考える。わたしたちはこの六根・六境を通して作りだされるものにこだわるのである。

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