第五節 度―切苫厄

度とは、わたしたちの苦しみの世界からさとりの彼岸、仏の世界に渡すことである。つまりわたしたちにとっては救っていただくことである。何を救ってくださるかというと「一切苦厄」、あらゆる苦厄についてである。

仏教用語から発生した日常語の中に、「四苦八苦」という言葉がある。<1>生苦―生きていること <2>老苦―老いてしまったこと <3>病苦―病んでいること <4>死苦―死んでしまうこと <5>愛別離苦―愛するものと別れること <6>怨憎会苦―いやな相手と会わなければならないこと <7>求不得苦―欲しいけど得られないこと <8>五蘊盛苦―これらの苦を感じてしまう五蘊、つまり人間の意識の受動、能動作用と人間の身体が盛んで煩悩がつよいことである。どれもつらいこと、いやなことである。こういった凡夫の苦しみを、観音さまは救ってくださるのである。

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