第六節 舎利子
舎利子は、お釈迦さまの実在した弟子の一人で、弟子の中で一番の智慧者とされている。
だが、『般若心経』では舎利子だけに呼びかけているわけではない。その他大勢の人に対して呼びかけているのではあるが、その智慧を見込んで、代表して呼びかけたのである。
しかし、『維摩経』には、羅什は「舎利子」を「舎利弗」と訳し、ここでの舎利弗は「智慧者」ではなく「知恵者」にされ、いろいろなことに、まだこだわっている姿が描かれている。そうしたことからすると、『般若心経』で舎利子を呼んだのは、舎利子以下、ものごとにまだこだわりをもっている人に「空」を説いていると考えられる。
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